税金とは
税金とは、政府が国や地域の経済活動や公共サービスを維持・発展させるために個人や企業から徴収する公的な収入です。税金は国や地域の財政を支え、社会的なインフラストラクチャーや公共サービス(教育、医療、安全保障など)の提供に充てられます。
税金の徴収は、政府が憲法や法律に基づいて行われ、各種税法が定められています。税金は個人の収入や資産、企業の利益などに応じて異なる種類の税金が課されます。主な税金の種類は前述のように所得税、消費税、法人税、資本利得税、不動産税などがあります
1,CLASSIFICATION of TAX
i National and local taxes
国税(こくぜい): 国税とは、中央政府が徴収する税金のことを指します。国税は国の財源を形成し、国の予算を賄うために使用されます。
- 所得税: 個人や法人の収入に対して課税される税金。
- 消費税: 商品やサービスの購入時に課される税金。
- 法人税: 法人の利益に対して課される税金。
- 資産税: 不動産などの資産に対して課される税金。
- 輸入関税: 輸入される商品に対して課される税金。
地方税(ちほうぜい): 地方税とは、地方自治体(都道府県や市町村など)が徴収する税金のことを指します。地方税は地方自治体の財源を形成し、地域の予算や自治体の事業を賄うために使用されます。
- 住民税: 個人の所得に対して徴収される税金で、住民税は都道府県税と市町村税に分かれています。
- 事業税: 法人や個人事業主の事業所得に対して課される税金。
- 不動産取得税: 不動産を取得した際に課される税金。
ii Direct and indirect taxes
- 直接税(ちょくせつぜい): 直接税は、課税対象となる個人や法人に直接的に課せられる税金のことを指します。納税者が直接税の負担を感じることからこの名前がついています。直接税は収入や資産など、納税者自身の経済活動や状況に応じて徴収されます。主な直接税の例は以下のようになります:
- 所得税: 個人や法人の収入に対して直接徴収される税金。
- 資産税: 不動産や株式などの資産に対して直接徴収される税金。
- 贈与税: 対他者への贈与に対して課される税金
- 間接税(かんせつぜい): 間接税は、課税対象となる経済活動や取引に対して課される税金のことを指します。間接税は納税者が直接的に税金を納付するのではなく、商品やサービスの価格に含まれている形で間接的に課税されます。納税者は商品やサービスを購入する際に税金を支払うことになります。主な間接税の例は以下のようになります:
- 消費税: 商品やサービスの購入時に商品価格に含まれている税金として課される税金。
- 輸入関税: 輸入される商品に対して課される税金。
- 登録免許税: 不動産や自動車などの所有権登記に課される税金。
- 印紙税: 契約書や証明書などに貼る税金。
- 酒税: 酒類の製造・販売に課される税金。
- 地方消費税: 地方自治体が独自に課す消費税。
課税:政府が税金を徴収するためのルールや制度を設定する行為やプロセス
税金:実際に徴収された公的な収入のこと
徴収:税金や料金などの支払い義務がある金額を政府や税務当局などが収集・回収すること
iii Self-assessment tax system and assessment tax system
税金の徴収方法に関する2つの主要なアプローチ
申告納税方式:納税者がが自分で税金を計算し、税務申告書を提出して納税する方式。→所得税、法人税、相続税
賦課課税方式:税務当局が納税者の所得や資産を評価し、税金を徴収する方式。→(個人)住民税、固定資産税(ふかしさんぜい)
2,BASIC of INCOME TAX
所得税:個人や法人の収入(所得)に対して課税される税金のこと。る1月1日から12月31日までの期間に得た所得に対して、所得税が計算されます。
所得=収入-必要経費
i Income Tax Taxpayers and Scope
日本語 | 英語 | 説明 |
---|---|---|
居住者 | Resident | 特定の国や地域に居住している人。 |
非永住者以外の居住者 | Non-permanent resident | 非永住者であり、特定の国や地域に一定期間以上滞在している人。 |
非永住者 | Non-resident | 特定の国や地域に居住していない人。 |
非居住者 | Non-domiciled | 特定の国や地域に居住していないか、一定期間以上滞在していない人。 |
ii Income tax exempt
日本の場合、以下のような特例が一般的に適用されます:
- 社会保険の給付金:健康保険や厚生年金などの社会保険の給付金は、一定の条件を満たす場合に非課税となることがあります。具体的には、特定の医療費の自己負担や特定の給付金の範囲内での受給が該当します。
- 通勤手当(15万円まで):通勤手当は、原則として一定額までが非課税とされます。2021年現在、通勤手当の非課税上限は月額3万円(年間で15万円)です。
- 生活用動産(30万円超の貴金属を除く):現金やクーポン、商品券などの生活用動産は、原則として一定額までが非課税とされます。2021年現在、非課税上限は年間30万円ですが、30万円を超える金額は課税対象となります。
- 損害または生命保険契約の保険金で体の障害に起因して支払われるもの:損害保険契約の保険金で体の障害による給付金は、原則として非課税となります。
- 損害保険契約の保険金で資産の損害に起因して支払われるもの:損害保険契約の保険金で資産の損害による給付金も、原則として非課税となります。
iii Income tax calculation flow
一般的な所得税計算の流れを以下のようにまとめることができます:
STEP 1: 所得の計算
計算対象となる期間(通常は1年間)における全ての所得を計算します。給与所得、事業所得、不動産所得、配当・利子所得など、さまざまな所得を合算します。
STEP 2: 課税標準の計算
所得税の計算では、一定の控除額を差し引いた金額を課税標準として用います。控除には基礎控除や扶養控除、社会保険料控除などが含まれます。
STEP 3: 課税所得金額を計算(所得控除算出)
課税標準から控除額を差し引いて、課税所得金額を算出します。これが実際に所得税が課税される対象となる金額です。
STEP 4: ①所得税額を計算
課税所得金額に対して、適用される税率を適用して所得税額を計算します。所得税は累進課税制度を採用しているため、所得が高いほど高い税率が適用されます。
STEP 4: ②申告納税額を計算
所得税額を算出した後、特別控除や住宅ローン減税などの特例控除を適用して申告納税額を計算します。これにより最終的な納税額が確定します
iv Comprehensive taxation and separate taxation
所得税の課税方式に関連する2つの概念です。
- 総合課税(Consolidated Taxation): 総合課税は、家族や世帯の全ての所得を合算して一つの課税対象とする方式です。具体的には、夫婦や親子などが一つの世帯とみなされ、家族全体の合算所得に基づいて所得税が計算されます。この方式では、収入の低い家族の控除を収入の高い家族の所得に充てることで、所得税負担を軽減する効果があります。
- 分離課税(Separate Taxation): 分離課税は、家族や世帯の所得を個別に計算して別々に課税する方式です。この方式では、夫婦や親子が個別に所得税を申告・納税します。個別の所得に基づいて税率や控除が適用され、家族の所得によってそれぞれの納税額が異なります。
総合課税と分離課税は、所得税の納税者の結婚や家族構成によって適用される課税方式が異なります。一般的に、総合課税方式は所得の差が大きい場合に、分離課税方式は所得が均等に近い場合に適しています。
所得税の課税方式に関連する2つの概念です。
- 申告分離課税(Separated Taxation with Individual Filing): 申告分離課税は、個人が自らの所得を申告して納税する方式です。個人それぞれの所得に基づいて税率や控除が個別に適用され、個人の所得によってそれぞれの納税額が異なります。この方式では、個人が独立した納税者として扱われます。
- 源泉分離課税(Separated Taxation with Withholding): 源泉分離課税は、給与や報酬などの源泉所得に対して、源泉徴収によって税金が差し引かれる方式です。具体的には、源泉徴収された税額が個人の所得に応じて調整されます。この方式では、収入を支払う側が税金を差し引いて納税を行い、個人は追加の納税をしなくても済みます。
申告分離課税では、個人が自らの所得を確定し、申告書を提出して税金を計算・納付する必要があります。一方、源泉分離課税では、給与などの支払いを行う際に、源泉徴収として税金が差し引かれ、個人が別途納税する必要がない場合があります。
- 個人事業主(個人事業所得):申告分離課税 個人事業主は、自営業やフリーランスとして収入を得ている個人のことを指します。個人事業主は、年次において自らの所得を計算し、申告書を提出して納税を行います。このため、個人事業所得は申告分離課税の対象となります。
- サラリーマン(給与所得者):源泉分離課税 サラリーマンは、会社や雇用主から給与として収入を得ている個人のことを指します。給与所得者は、給与支払い時に源泉徴収が行われ、給与から所得税が差し引かれます。このため、給与所得は源泉分離課税の対象となります。
個人事業主とサラリーマンは、所得の種類が異なるため、異なる課税方式が適用されます。個人事業主は自らの所得を申告して納税する申告分離課税が、サラリーマンは給与から源泉徴収される源泉分離課税が一般的な課税方式です。
源泉:物事の根源や元となる場所、または出典や発信元。税金でいうと税金が差し引かれる元となる給与や報酬の支払い源
源泉徴収:給与や報酬などの支払いを行う際に、収入者から直接税金を差し引く仕組み